今回の作曲の意義

今回も佳作をいただきました。朝日作曲賞をねらっていた者としてはちょっぴり残念でしたが、友人に励まされ元気を取り戻しました(笑)

前回(2020年12月)佳作をいただいた時には今回また応募することは考えておりませんでした。結果が出たのが12月中頃で、今回の応募期間が2月20日~3月1日だったので、また新しく組曲を書くのには時間が足りないと思い諦めていました。(前回の『わたしの生きざま』は完成するのに手直しやら何やらを含めて半年以上かかったので)

そうしてのんびり正月を過ごし、年明け10日ほど経った頃、全日本合唱連盟から応募要項が届きました(前回応募した人には郵送しているそうです)。僕はこれは何かの思し召しだと思いました(全日本合唱連盟さんには本当に感謝です)。時間がないと思いましたが、間に合わなかったら間に合わないでいいから後悔しないためにやってみようと作曲を始めました。その当時は山之口貘にハマっていたこともあり、今回もこの人の詩にしようと思いました。しかも今の僕の気持ちにピタッとはまる詩を選びました。(『再会』『妹へおくる手紙』『石』『底を歩いて』)こういう時こそ焦らずに落ち着いてと自分に言い聞かせながら作曲を進めていきました。

4曲目の『底を歩いて』の作曲に取りかかろうとしていた頃、仕事に向かう途中にある横断幕を見かけてぞわぞわっと鳥肌が立ちました。

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(拝借した写真で、実際に見たのは別の場所ですが、県内各地で見かけます)

それを見た時に、今回の応募作品必ず完成させて提出しなければという強い気持ちが湧き起こりました。そして今回の結果につながりました。

今回の組曲を作曲するにあたり強く意識したことがあります。コロナ禍で自殺者が増えているという話についてです。この世に生まれてきた者がどんなに辛い状況にあっても絶対にしてはいけないことが自ら命を絶つことです。僕はこの組曲を、少しでも自殺を考えている人がいたらその人にぜひ聴いてもらいたい、山之口貘という詩人の詩を知ってもらいたい、そして自殺を思いとどまらせたいという思いで作曲しました。だからどうしても賞が欲しかった!朝日作曲賞をいただけたらそういう人のところに思いが届くかなと思っていました。佳作でも届いてくれたら嬉しいですが…。

実際に賞はいただけたのですが、どうやったらそういう人たちの元に届けられるだろうか…。